冬はつとめて

今までにどれほどこの文章を読んだことか。
仕事だといってしまえば、それまでですけどね。
味わいの深い随筆です。
清少納言がしたためた『枕草子』がそれ。

誰もが習います。
「春はあけぼの」から…。
日本の風土は四季の感覚からできあがっています。
最初の段はことに趣が深い。

一条天皇の中宮定子に仕えたことはよく知られています。
田辺聖子の小説を読むと、夫であった橘則光との暮らしぶりもよくわかります。
そしてその後の離婚。
定子のところへはじめて行った時の初々しさもなかなかのものです。

「宮に初めて参りたるころ」という段には、彼女の柔らかな感受性がよく出ていて、親近感を覚えます。
さて「冬はつとめて」だ。

ちなみに「つとめて」には二つの意味があり、一つは早朝、もう一つは翌朝です。
ここでは早朝でしょうね。

冬は、つとめて。
雪の降りたるはいふべきにもあらず。
霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、
火など急ぎおこして、炭もて渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。

歌人清原元輔の娘に生まれなければ、宮中に出ることもなかったでしょう。
人の一生は、深い縁に彩られているものなのかもしれません。

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