僕らの能・狂言 金子直樹 淡交社 2018年3月 

今年出版されたばかりの本です。
若手から中堅が中心。
現在活躍している人たちへのインタビューで構成されています。
能や狂言に対する愛情の深さがこれでもかと伝わってきて息苦しいほどです。

それだけ今日、彼らの背負っている現実が重いのです。
かつてのように日常生活の中に謡や能が浸透しているわけではありません。
様式美に支えられた歌舞伎のように心地よくやさしい演劇でもない。
どちらかといえば、単彩でどこまでも観客の想像力に頼らなければなりません。

それだけの覚悟を持った見所の人々に支えてもらわなければ、消えてしまう可能性すらあるのです。
謡や仕舞を習おうという人の数も減っています。
高齢化の波はここにも押し寄せているのです。

その中で必死にどうしたら能や狂言の伝統を守り抜くことができるのか。
演者の悩みは深いのです。
さらには囃子方の人たちの立場も難しい。
シテやワキの中には、囃子の持つ意味を知ろうとしない人も増えたといいます。

生き抜くためには何をしたらいいのか。
彼らの苦悩はこれからも続くと思います。

今回のインタビューに応じた人々は以下の通りです。
シテ方五流からは観世流・片山九郎右衛門、鵜澤光、宝生流・宝生和英、金春流・中村昌弘、金剛流・金剛龍謹、喜多流・友枝雄人。
ワキ方からは宝生流・宝生欣哉。
囃子方からは笛方・杉信太朗、小鼓方・成田達志、大鼓方・安福光雄、太鼓方・観世元伯。
狂言方からは大蔵流・山本則重、和泉流・野村又三郎。

なお、観世元伯氏は昨年の12月逝去されました。51歳でした。
ぼくも何度か、氏の太鼓を聞かせてもらっています。
芸の継承はどうすれば可能なのか。
大きなテーマですね。

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