真打ちすごろく

柳家権太楼がある噺家の真打ち披露でこんなことを話していました。

今までは上をめざし、とにかく真打ちになることだけを念じてきただろう。
けれど、このすごろくはクルッと裏を返すと、名前をかえて、本当の真打ちすごろくになる。
今までと違って、何年たてば必ず上に上がれるというもんじゃない。
少し先まで行ったかと思うと、そこでしばらく待てとなり、さらに振り出しへ戻れとなる。

どこに上がりがあるのかまったく見えず、死ぬまで続く戦いなのです。
だからお客様のあたたかいご祝儀が必要なのだ。
ご祝儀とは金銭のことじゃない。
高座にあがる時に迎え手の暖かい拍手をください。
終わったら、よかったよ、おもしろかったよという送り手の盛大な拍手をください。
芸人ははやされれば、踊るんです。

権太楼のあたたかい口上が今も耳に残っています。
芸人の人生は想像以上に厳しいものです。
その中を必死に生きている人間だけに呟ける言葉なのでしょう。
真打ち披露興行の時にトリをとってはみたものの、その後一度も機会がないという噺家がいかに多いことか。

真打ちすごろくの存在とその怖さをあらためて感じざるを得ません。
芸の世界には鬼が宿っていると思います。

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