子別れ

子別れ

名作です。 こういうのを落語というのではないでしょうか。 古典落語の演目の中でも一際すぐれたものです。初代春風亭柳枝の創作です。 四代目柳家小さんの手を経て磨かれた人情噺です。 今では柳派に限らず、多くの噺家が演じます。 志ん生、圓生、小さん、志ん朝をはじめ、名人がみな自家薬籠中のものにしました。 親子、夫婦の愛情を表現するだけに、あまり若い人ではリアリティーが出ません。 それだ...

吉朝庵

吉朝庵

上方の噺家についてはあまりよく知りません。 どうしても江戸落語に傾きがちなのは、東京の文化により親しんでいるからでしょう。 しかし落語の稽古を始めてみて、予想以上に上方の噺が江戸に流れこんでいることを知りました。 もちろん題名だけでなく、場所も設定もかえてあり、さらには登場人物の名前も違います。 しかし笑いに対する感覚の鋭さには、あらためて舌を巻きました。 上方の落語は大...

落語こてんコテン

落語こてんコテン

以前に『落語こてんパン』の紹介をしました。これはその続編として出版された本です。 例によって50本の噺が紹介されています。 ポプラ社のウェブマカジン「ポプラビーチ」の連載を加筆訂正したものです。 内容は町内の若い衆、かぼちゃ屋、唐茄子屋政談、親子酒、宿屋の富、御慶、幇間腹、棒鱈、花筏、七段目など。 さらに死神、王子の狐、宮戸川、へっつい幽霊、花見の仇討ち、締め込み、紀州、権兵衛狸、百年目、...

宗論、かんしゃく、堪忍袋

宗論、かんしゃく、堪忍袋

「宗論」「かんしゃく」といえば、今や古典の部類に入る噺です。 先代文楽の「かんしゃく」や小三治師匠の「宗論」を聞いていると、実に愉快そのものです。 しかしできたのはそれほどに昔のことではありません。 作者はだれかといえば、ここにあげた益田太郎冠者その人です。 実に人をくったような妙な名前です。本名は太郎、1875~1953。 三井財閥の重役であり日本美術の一大コレクターだった鈍翁益田...

親子で楽しむ落語の時間

親子で楽しむ落語の時間

落語は親子で楽しむものなんです。多分。 寝る前に親が枕元で話して聞かせ、子供が時に笑いながら、安心してすやすやと寝る。 童話とおんなじです。 ところでもっとすごい本が講談社から出ています。 『決定版 心をそだてる はじめての落語101』というのがそれです。 高田文夫が書いています。 3000円以上もするので、ちょっとすぐに手が出るような代物ではありませんが...。 評判は大変にい...

円朝の女

円朝の女

松井今朝子の本は以前にも『仲蔵狂乱』を題材にして、この欄でも紹介したことがあります。 この『円朝の女』もそうした系譜に属する本の一冊です。 ただし書きぶりは直木賞受賞作『吉原手引草』の方に近いかもしれません。三遊亭円朝という噺家に関わった5人の女性が登場人物です。 語り手は彼の近くにいた元噺家、五厘と賤称された今でいえばマネージャー格の男です。一人息子朝太郎を産んだお里という人もすごい人物で...

梅の家の笑子姐さん

梅の家の笑子姐さん

柳家小三治師匠もかなりのお年になられました。 落語協会会長という大役を無事に果たされて、今頃は安堵なさっていることでしょう。 元々、噺家というのは一人稼業です。 まとまるはずもない。 そこをなんとか折り合いをつけていこうというのですから、かなり神経をすり減らしたに違いありません。 香盤ひとつかえるのだって、容易なことではないのです。 これからは少しのんびりとしていただきたいものです。 ...

狂い考

狂い考

 個人的な感想ばかりを書いて、このブログもかなりの分量になりました。 自分メディアというものの本質はそんなもんでしょう。 今日はいつもとちょっと趣向を変えまして、狂うということについて考えてみます。 落語三百年の伝統とよくいいますが、最初の頃はやはり滑稽な噺が好まれたようです。 安楽庵策伝を待つまでもなく、お伽衆というのもそうした要素を持った人々でした。 やがて三遊亭圓朝が出...

大落語論

大落語論

柳家権太楼という噺家はとにかく寄席を大事にします。 きっとあの空気、気配が好きなんでしょう。 そうとしか思えません。 高座の数も年に400回とか500回とか、いや600回は超えているという話です。 膝を悪くしたり、入院したり、あちこち具合が良くなくても、しばらくすると、また寄席に戻ってきてくれます。『代書屋』などという噺は権太楼でなければ面白くない。 枝雀も面白かったけれど、東京では...

怪談噺

怪談噺

いよいよ怪談噺の季節になります。 元々落語は滑稽噺が中心ですが、江戸では人情噺も盛んでした。 そこへ顔を出したのが怪談噺というわけです。 いわゆる怖いもの見たさというところかもしれません。 高座に背景を用意し、音曲を入れたり、小道具や照明などを使うものもあります。 素噺と呼ばれる語りだけの落語が中心ですが、林家正蔵、正雀のような大道具仕立ての特異な芝居噺もあります。 名人三遊亭...