助けてと言えない NHK取材班 文藝春秋 2013年6月

孤独死した39才の男性が最後に残した一枚の紙に書いた言葉。それは「助けて」というものでした。衝撃的です。
全編がNHKで放送したクローズアップ現代の後追い取材によって構成されています。30代のホームレスという表現にあまり馴染みがありませんでした。しかし外からは一見してわからないように、ひっそりとたくさん存在しているのです。北九州市で亡くなった男性は餓死だったそうです。
そんなことが現代でもあるのかというのが正直な感想です。しかし30代はかなり難しい世代でもあります。
一度は就職したものの、うまくいかずに非正規へ。さらに自己責任という言葉が社会を覆うようになり、ますます彼らは自信を持つことができなくなっていきます。家族関係の崩壊も理由の一つです。
しかしプライドは捨てられません。今の状況では誰にも窮状を訴えたくないと彼らは言います。自分が相手に与えるものがない限り、人は対等ではいられないのです。
リーマンショックの影響も大きかったと思われます。
取材班はNPOを立ち上げ活躍している奥田牧師と頻繁に夜の町を歩き、さらに炊き出しの現場で、ホームレスの人と関わりを持とうと努力します。貧困ビジネスを恐れる彼らは、簡単に内情を打ち明けたりはしません。たとえ空腹であっても、そのことを悟られるのが厭なのです。
NPO代表の奥田さんは自分の家にも彼らを住まわせ、支援を続けます。それでもうまくいく人は僅かしかいないのが現実です。
人と人が繋がることの難しさをしみじみと感じました。他者に何ができるのかというテーマは、とても重いものです。