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蜂蜜と遠雷 恩田陸  幻冬舎 2019年4月

4月、文庫本になって登場しました。 売れているみたいです。 恩田陸という作家についてはよく知りません。 しかしこの作品を書くために随分と時間がかかったようです。 そのことは著者とずっとつきあった幻冬舎の担当が文庫本の後書きで書いています。 舞台になった浜松国際ピアノコンクールに...
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身体的物語論 蜷川幸雄 徳間書店 2018年5月

蜷川幸雄が亡くなって2年。 歳月の過ぎ去るのは早いものです。 彼はどういう演出家だったのか。 いつも時代の匂いを嗅ぎまわっている人でした。 Tシャツ1枚になっても、汗をかいていた そういう意味で、静かな演劇をつねに標榜した平田オリザとは対極をなすのかもしれません。 亡くなる前に行...
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僕らの能・狂言 金子直樹 淡交社 2018年3月 

今年出版されたばかりの本です。 若手から中堅が中心。 現在活躍している人たちへのインタビューで構成されています。 能や狂言に対する愛情の深さがこれでもかと伝わってきて息苦しいほどです。 それだけ今日、彼らの背負っている現実が重いのです。 かつてのように日常生活の中に謡や能が浸透している...
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新訳風姿花伝 観世清和  PHP研究所 2013年12月

今までに何度も読んでいます。 そのたびに新しい。 そのことに驚かされます。 著者は31歳で観世宗家を継いだ能楽師です。 特に訳が難しいというのではありません。 ただ自らが舞い、謡う立場にいる人だけに、その言葉に裏付けがあるのです。 実際、芸道の厳しい道を歩いていなければ書けないことば...
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森有正先生のこと 栃折久美子 筑摩書房 2003年9月

栃折久美子さんといえば、一つの時代を作り出した装丁家です。次々とすばらしいデザインの本が書店に並びました。 その彼女がパスカルの研究家で哲学者でもある森有正とこのようなつきあいをしていたとは全く知りませんでした。 と同時に今まで、大変に難しい文章ばかりを書いていた森有正が一気に別の人間としての生...
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君たちが知っておくべきこと 佐藤優 新潮社 2016年7月

副題に未来のエリートとの対話とあります。 これは灘高校の生徒と膝詰めで話し合った対話集とでもいったらいいのでしょうか。 ユニークな構成の本です。 筆者は一種の焦りを持ちながら、エリートと呼ばれる彼らに信頼をおこうと必死になっているように思えました。 日本では選良に与えられた義務という発想...
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夫・車谷長吉 高橋順子 文藝春秋 2017年5月

上梓されたばかりの本です。 通勤途中も読みふけってしまいました。 車谷長吉については、あちこちに書いた記憶があります。 彼の文体に惹かれ、何作も読みました。 やはり『赤目四十八瀧心中未遂』の持つ特異な風景は魅力的です。 その作家がどのようにして、詩人高橋順子と所帯を持つようになったかに...
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桜田門外ノ変 吉村昭 新潮社 2010年2月

偶然の機会に恵まれて読了することができました。 『大黒屋光太夫』に続いて、職場の女性に貸していただきました。 吉村昭の小説はかつて『海も暮れきる』と『破獄』を読んだだけです。 そういう意味で、大変に貴重な時間でした。 視点はただ一つ。 水戸の下級藩士の家に生まれた関鉄之介の目を通して描...
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N女の研究 中村安希 フィルムアート 2016年11月

N女という表現にとまどいました。 非営利法人に転職していく女性のことです。 それまでの報酬を捨て、高学歴の彼女たちがなぜ…。 民間セクターと行政セクターとの溝を埋めるため、つなぎ役になりたいとする彼女たちへのインタビューで全体が構成されています。 基本的に肩肘張らずにやっているのがいいな...
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みかづき 森絵都 集英社 2016年10月

長編です。小説すばるに足かけ3年連載したものをまとめたものです。 文学的な香気というものからはやや遠いものの、多くの読者を得られるだろうと思います。 それは内容がまさに現代の教育の実情をえぐっているからです。 塾というものの草創期から今日までの様子が伏線です。 ストーリーの根幹をなす...
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脊梁山脈 乙川優三郎 新潮社 2013年4月

復員兵である主人公の心の軌跡とでもいったらいいのかもしれません。読後感がこれだけ爽やかな小説は久しぶりです。しかしそれはけっして明るいものではないのです。主人公に絡む2人の女性。一人は奔放な画家であり、もう一人は芸者です。 伏線には木地師と呼ばれる人々との出会いがあり、どこへ読者を連れていこうとし...
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知の読書術 佐藤優 集英社 2014年8月

2年前、ロシアがクリミアを併合した時に書かれた本です。 佐藤優は今も精力的に本を書いています。 どれもが時代を読み取ろうとする熱心な読者に支えられているのです。 時代はますます複雑になっています。 ロシアも中国も帝国主義的な姿勢を崩していません。 その一方でアメリカの混迷もみてとれます...
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七つの会議 池井戸潤 日本経済新聞出版社 2012年11月

数年前からこの作家の本を読み始めました。経済と人間との絡み合いに興味を持ったからです。半沢直樹シリーズの評判は聞いていました。 後に作品を読み、興味を持ったことも事実です。銀行という組織の持つ非人間性がこれでもかと描かれていました。しかし会社という組織には多かれ少なかれ、似たような側面があります。...
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お能 老木の花 白洲正子 講談社 2007年4月

筆者が二代目梅若実について能を習い始めたのは4歳の時でした。それからずっと能に親しみ、多くの舞台に出ています。その当人が書いたエッセイだけに、リアリティに満ちています。 実際に舞った人だけにしか書けない内容です。お能の見方や、幽玄、装束、面などについて独自の視点から、彼女の見識を披露しています。 難...
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あこがれ 川上未映子 新潮社 2015年10月

小説を集中的に読みたくなりました。殊に今まであまり読んでいなかった女性作家の作品を選んでいます。 この人のものは初めてでした。 読後感が爽やかです。小学校4年から6年生にかけての男女ふたりの心理描写が中心です。 どちらもそれぞれの父親と母親を早くに失い、その分だけ、大人の世界に対する視点も確かなもの...
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庭の桜、隣の犬 角田光代 講談社 2007年9月

最近、あまりこの欄に本のことを書かなくなりました。読んでいない訳ではないのです。つい日記の方ですませてしまう傾向が強くなりました。反省しています。 久しぶりに角田光代の小説を読みました。 群像に1年間連載したもののようです。 内容はまさに家族と夫婦。 主人公はテーゼがないと呟きながら、自分の芯がない...